こんばんは! CData Software Japan リードエンジニア兼API中毒担当の杉本です。
Web API Advent Calendar 2021 今日で最終日になりました!現在23時とギリギリです!
今年も去年に引き続き、API関連のプレスリリースや新規API公開などを棚卸ししましたので、総まとめでお届けしたいと思います!
去年の記事はこちらからどうぞ。
ちなみに内容は基本的に日本国内向けの発表を中心として選択していますが、国内でも大きく取り上げられた海外の製品についてもいくつか触れています。
余談ですが今回のまとめの作成には以下のWeb API News Blogを活用しました。実は裏ではMicrosoft のローコードツール LogicAppsを活用していて、日々APIニュースを集めるようになっています。
今年のはじめに作っておいて、後は放置だったのですが、思ったよりもなかなかいい感じにデータを集めてくれていて、助かりました!
それではいってみましょう!
API公開
API公開関連では、Vertical SaaS として有名なアンドパッドがAPI公開を開始したのが印象的でした。Vertical SaaS は SaaSとしてもこれからさらなる成長が期待されるエリアだと思うので、その先駆けであるアンドパッドが公開したのは大きいですね。
以前Twitterも学術研究用へのAPIアクセスを提供していましたが、Facebookも開始しました。大量の生のテキストを感情分析のような手法を使って分析することができるAPIのようですが、これは今後どのような研究成果が発表されるのか? が気になるところですね。
日本でも人気のNotionがAPI パブリックベータになったのも気になっていました。ただ、私もまだ触れておらず・・・。
郵便番号検索APIで有名なケンオールが、今度は法人番号APIもリリースしたみたいです。もともとは国税庁が提供しているAPIですが、それをさらに使いやすくマッシュアップしたサービスとなっているようです。
今まで無かったのか!とちょっとびっくりですが、Google Forms APIがオープンベータになったのも驚きでした。
API Update
API Update では個人的にも仕事的にも一番衝撃的だった Selling Partner API の移行を取り上げてみました。当初は4月に発表、9月に旧API廃止という超過密スケジュールでしたが、その後色々と声があったのが、来年7月に延期されるというものでした。
今後API Updateを考えているサービサーの方は一つの事例として見ておいたほうがいいかもしれません。
sellercentral-japan.amazon.com
LINE WORKS API 2.0 のAPI Updateも気になるところですね。もともとかなりサービス毎のカラーが違うAPIでしたが、これにより統一感のあるデザインになったようです。
また、兼ねてより発表されていた Twitter API が正式に Ver2が主要APIとなったようです。今までVer1 APIを使っていたアプリの動向が気になるところですね。
SaaS API 連携
SaaS API連携ではオンライン葬儀システム『スマート葬儀』が kintoneや顧客管理システム、基幹システムなどとAPI連携を開始したというニュースがとても衝撃的でした。DXという観点でもこれからの領域だと思いますが、今後も要注目です。
こちらも今まではなかなかAPI関連ではなかなか見られなかった分野ですが、在宅医療に特化して開発したクラウド型電子カルテシステム「homis」が在宅医療専用スケジュール管理ソフトとのAPI連携を開始したというニュースです。
今では顧客体験における大きなファクターになったといえる、LINE とそのAPI X Azureによる小売業界向けソリューションの開発・導入を推進も気になるトピックです。今まではある程度大手でなければガッツリ開発できなかったところが、この取り組みによって敷居が下がり、さらに幅広い LINE API との連携が生まれるのではないかと期待です。
ビッグデータ
ビッグデータ関連APIと言えば、私も興味深く触っていたYahoo! JAPANのビッグデータを活用できるAPI「DS.API」のリリースがユニークでしたね。新しいマーケティングデータの1カットとして今後の展開がとても気になります。
また、去年障害問題で世間を騒がせていた東証がAPIサービスを提供開始していましたね。「TDnet APIサービス」「約定値段情報APIサービス」といった東証だからこそ提供できるデータをAPI化しています。
こういったデータを自社ビジネスで生成・持っている企業のAPI化は今後さらに進みそうですね。
電子レシート関連のニュースも今年ちらほら見かけたなーと思いますが、東芝データはその購買統計データのAPI提供を開始しました。「レシート発行から数時間以内に形成した購買統計データへダイレクトに接続できる」というリアルタイム性が魅力的です。
IoT
IoT関連では、今年もやはりコロナの状況下に関するリリースが多いように見受けられました。
スマホで開け閉めできるスマートコインロッカーSPACERが外部アプリにその機能を埋め込める「SPACER API」をリリースしていたり
オンライン予約システムの「STORES 予約」が入退室管理クラウド「iDoors」とAPI連携開始し、完全非対面で予約から入退室管理までサポートできるなど、このような連携需要はさらに増えていきそうですね。
スマートホーム関連は、なかなかガラパゴス化の一途をたどっている感じではありますが、三菱地所が特定のブランドやメーカーに依存しないスマートホームサービスの提供を開始したというのが気になるところです。
非IT業種関連
ちょうどリリースされたばかりの「ワクチン接種証明」、実は事業者向けのAPIもひっそりと提供が検討されていたりします。接種券番号と生年月日を入力すると、接種回数・最終接種日などの情報を返す仕様とのことで、国内レジャーの予約サイトなどでの活用が見込まれるようです。こういう取り組みを国が行ってくれるのは嬉しいですね!
不動産テックも今熱い分野だなと思いますが、そのなかでもおそらく重要なウェイトを占めるであろう、「不動産共通ID」推進の取り組みがニュースになっていました。現状各社ばらばらに管理されている不動産情報を共通的に利用できるようにする仕組みで、まだ策定中のようですが、今後API連携も含めてとても気になる部分です。
非IT系企業のAPI公開として、個人的にとてもおもしろかったのが朝日新聞社の長文を要約するAPIですね。新聞社だからこそ持ちうるノウハウだとは思いますが、それをAPI化するというのがとても良い事例ですね。
フィンテック
フィンテックといえば、気になるのは銀行APIですが、様々な銀行APIを見ていると、そのガラパゴスさ、仕様のばらばらさ加減に嫌気がさしてしまうことがありますね。そんな状況を打開するためか一般社団法人フィンテックガーデンが銀行共通API仕様書を金融機関に無償配布したようです。
とはいえ、すでに公開されているAPIが多数ある中で、この状況は今後どのように変わっていくのでしょうか。
資金調達
資金調達では、なんと言ってもPostmanがさらに追加の資金調達を行ったニュースが個人的にも衝撃的でした。APIの重要性が増すほどに、Postmanの重要性も増していくなーと感じます。
また、API管理ソリューション分野でありながら、ノーコード X API という切り口の Blabor の資金調達も今後の展開が気になるところです。API利用者向けのエクスペリエンス向上はさらに重要性を増していますね。
しかしまあ、資金調達関連のニュースはとても多くあったなという印象です。API管理やAPIベースのデータベースのサービスが資金調達は今までもよく見たところですが、ヘルクケアや送金・為替、カーボンオフセットなど様々な分野におけるAPIサービサーの資金調達が目立ったなという一年でした。
ちなみに手前味噌ですが、APIコンポーネントベンダーである私の会社 CData Software でもシリーズBの資金調達を行っていました。
おわりに
今年もたくさんAPI関連ニュースを見ましたが、個人的には非ITや異分野、Vertical SaaSなどでAPI連携トピックが多くなったなと感じた一年でした。
今まではどちらかと言えば、IT企業がこのAPI周りで主戦場だったかと思いますが、今後さらにこういった流れは増えていくんだろうなと感じています。
来年は果たしてどんなAPIが登場してくるのでしょうか!
それでは皆さん良い年末を!